血管の病気とは?動脈および静脈の詰まりとコブ

2018.07.31

ドクター

ある日突然襲ってくる怖い血管の病気。

このページではその血管の動脈と静脈の役割や働きから、血管の病気についてまでご紹介します。

動脈と静脈の働きと違い

血管

動脈と静脈はどのように違うものなのでしょうか?

詳しく解説します。

体循環と肺循環

血液は血管を通って、全身に行き届いています。

血液の流れは、血液が心臓から全身に回り、心臓に戻ってくる体循環と、心臓から肺に回り、心臓に戻る肺循環に分けられます。

体循環は、心臓の左心室→大動脈→動脈→毛細血管→静脈→大静脈→心臓の右心房という経路で循環し、組織へ酸素や栄養分を供給して、二酸化炭素や老廃物を回収する役割を担っています。

一方、肺循環は、心臓の右心室→肺動脈→毛細血管→肺静脈→心臓の左心房という経路で流れています。

肺動脈には二酸化炭素が多く含まれる静脈血が流れており、肺の毛細血管まで行くと二酸化炭素を捨てて酸素を受け取り、酸素が多く含まれる動脈血が肺静脈を流れます。

構造の違い

毛細血管を除く血管は、血管の内側から順に内膜、中膜、外膜の3層構造となっています。

しかし、動脈と静脈ではその構造に違いがあり、動脈では拍動性の血流と血圧に耐えられるよう中膜が弾性線維と平滑筋により厚くなっており、伸縮性と弾力性があります。

一方、静脈は、高い圧を受けることがないため、中膜の平滑筋や弾性線維が少なく、弾力性に乏しいのが特徴となります。

また、静脈は、血液の逆流を防ぐための弁を持っており、特に、足の静脈は心臓から離れており、重力に逆らって流れなくてはいけないため、逆流防止弁に加えて、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用により、血液が心臓に戻るのを助けています。

毛細血管は、1層の内皮細胞と周皮細胞から構成されており、組織の深くまで網目状に分布しています。

細胞同士の隙間を通して、血管内の血液と組織間で酸素や二酸化炭素、栄養分、老廃物の交換をしています。

血管の病気には何があるの?

疑問 女性

血液は血管を通り、酸素や栄養分の供給、二酸化炭素や老廃物の回収を行っているため、私たちが元気に生きていく上で、血管が健康であることは重要です。

血液がうまく流れなくなると供給にも回収にも影響を及ぼすため、様々な症状が発現します。

それでは、血管の病気にはどのようなものがあるのでしょか?

動脈にコブができる〜動脈瘤とは?〜

動脈の壁には、常に強い圧が掛かっていますが、壁の一部が何らかの理由で弱くなると、その部分の血管が膨らみコブができた状態となります。

これが、動脈瘤です。

コブができた部位や動脈壁の状態、形によっていくつかに分類されますが、最も多いのが真性腹部大動脈瘤です。

症状

一般的には自覚症状が出ませんが、コブの破裂や周囲の圧迫、循環障害などの障害が生じることがあるので注意が必要です。

特にコブの破裂は、痛みや貧血、ショックなどが発現し、すぐに治療しなければ命を落とすことも少なくありません。

治療

動脈瘤の大きさや形などによって経過観察とするか、外科的治療が必要か判断されます。

動脈瘤は一度形成されると元に戻ることはありませんが、血圧をコントロールすることにより拡張する速度を遅らせ、破裂を予防することが可能となります。

観察中は、血圧の急激な上昇を避けるため、降圧剤を服用し、血圧を調節することがあります。

コブの治療では、カテーテルを挿入してコブのあるところでステントグラフトを留置し、コブの破裂を防ぐ血管内治療や、コブのできたところを人工血管に置き換える手術が行われます。

動脈が詰まる〜末梢動脈閉塞症とは?〜

動脈が詰まると、臓器や組織に血液を送ることができなくなるため、機能障害を引き起こします。

詰まる場所により障害される臓器は異なり、脳の血管が詰まると脳梗塞、心臓の血管が詰まると心筋梗塞となります。

動脈が詰まったことにより、手足の血流障害が起きた状態を末梢動脈閉塞症といいます。

急性の末梢動脈閉塞症には、動脈硬化などで狭くなった血管に血の塊が詰まる血栓症や、心臓の中にできた血の塊や大動脈内にできた血栓が剥がれて流れ、手足の末梢動脈を塞ぐ塞栓症があります。

慢性の末梢動脈閉塞症は、動脈硬化によって手足の末梢動脈が狭くなったり、詰まったりする状態で、閉塞性動脈硬化症などが挙げられます。

症状

急性の末梢動脈閉塞症では、急に手足の激痛や冷感、しびれ感などが生じます。

皮膚の色も白くなり、実際に皮膚も冷たくなります。

血栓を取ると症状は改善されるため、一刻も早く治療を受けることが大切です。

慢性の末梢動脈閉塞症では、間歇性跛行と呼ばれる歩行障害が多く認められます。

その他、しびれや冷感を感じることもあり、重症化すると壊疽が生じ、足の切断に至ることもあります。

治療

閉塞性動脈硬化症では、患者さんの症状に合わせて、運動療法や薬物療法、カテーテルを用いた血管内治療、バイパス手術が行われます。

また、動脈硬化の進行を防ぐために、生活習慣の改善など危険因子への対策も重要です。

静脈にコブができる〜下肢静脈瘤とは?〜

静脈の弁の異常により、血液が逆流し、足に滞留することにより発症します。

主に表在静脈に起こり、逆流を起こしている部分がコブとなって皮膚から盛り上がって見えたり、血管が赤くクモの巣状に広がって見えたりします。

症状

むくみや疲れ、痛み、こむら返りなどのうっ血症状や、皮膚の色調異常、潰瘍などの皮膚症状がみられます。

治療

弾性ストッキングの着用や生活習慣の改善により血流を良くすることで、症状が緩和されます。

下肢静脈瘤は命に関わる疾患ではありませんが、症状が酷い場合や外見上気になる場合、うっ滞性の皮膚症状が見られた場合などに治療を行うことがあります。治療では、原因となっている血管内に熱を加えて塞ぐ血管内治療や、薬剤を注入して血管を固める硬化療法などが行われます。

静脈が詰まる〜深部静脈血栓症とは?

足の深いところを流れる静脈が血栓により塞がり、血液が足に溜まる状態です。

寝たきりの方やガンに掛かっている方、術後、避妊薬を服用している方などに発症しやすいことが知られています。

できた血栓が血流に乗って肺に移動して、肺の動脈を詰まらせると肺塞栓症を引き起こします。

症状

症状の程度は人により異なりますが、痛みや腫れ、皮膚の色調変化が見られることがあります。

治療

血液が固まるのを防ぐ抗凝固療法が中心となります。

重症の場合には、外科的治療により血栓を摘出することもあります。

まとめ

健康的な血管を保つことは、私たちが元気に過ごすために欠かすことができません。

血管の詰まりやコブは、様々な症状を引き起こし、場合によっては命に危険が及ぶこともあります。

生活習慣の改善などにより血管の機能と血流を維持し、健康な毎日を過ごしましょう。