血栓症とは?その原因と予防について

2018.07.27

血栓

よく「血管が詰まる」という言葉を聞きますが、血管が詰まる原因や血管が詰まるとどうなるか、そして、その予防についてご紹介していきます。

血管が詰まる病気「血栓症」

倒れる 女性
血管内にできた血栓(血の塊)が、血管のどこかに詰まって血液の流れをせき止めてしまうと、いわゆる血管が詰まる「血栓症」という病気になります。

血栓症は、血栓が詰まる部位によって、心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症などの病気を引き起こします。

血栓症になると、急速に症状が悪化して、生命の危険に陥る場合もあります。

血栓症にならないためには、生活習慣を見直すことが大切です。

動脈血栓症と静脈血栓症

違い
血栓症には、動脈が詰まる「動脈血栓症」と静脈が詰まる「静脈血栓症」があります。

動脈血栓症は、脳梗塞、心筋梗塞に代表される疾患で、血流の速い環境下で起こる血栓症です。

一方、静脈血栓症は、深部静脈血栓症、肺塞栓症に代表され、血流の遅い環境で起こる血栓症です。

血栓ができる原因

血栓
血管は、全身に血液を流すため、血管に圧力を掛け働き続けています。

この圧力を血圧といいます。

血圧は血管に負担を掛けるので、年齢を重ねるごとに弾力性は失われ、血管は硬くなり傷つきやすくなります。

傷ができると、そこから出血するため、出血を止めるために血小板という血液成分が集まり、血管の傷を治します。

血小板には、傷からの出血を止め、固めるという役割がありますが、時々、血小板の機能が亢進し、血管内で必要以上に固まってしまうことがあります。

糖尿病や高脂血症の人は、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪が多いので、血液の粘稠性(粘り気)が強く、血液の流れが悪くなります。

そうすると、血管の壁にプラークと呼ばれる血栓の元になるものが付着し、血液の通り道を狭くします。

このプラークが壊れると傷になり、その傷を治すために血小板が集まり、かさぶたのようなもの(血栓)を作ります。

これを繰り返すと、どんどん血管の壁が厚く硬くなり、血液の通り道をさらに狭くします。

これが「動脈硬化」という現象です。

動脈硬化を招く危険因子

食欲
動脈硬化は、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が大きく影響します。

これらの因子は相互に関係しており、因子が増えれば動脈硬化の危険性が高まります。

他には加齢のように、自分の意志ではコントロールできないものもありますが、食事、運動、喫煙、飲酒、肥満、ストレスなど、自分の意志でコントロールできるものについては、生活習慣を見直すことで、動脈硬化の危険を減らすことが可能です。

動脈硬化の危険因子として、以下のものがあります。

①高血圧

高血圧では、動脈壁に高い圧力が掛かるため、内膜が傷つき、その部分に血小板や悪玉コレステロールなど、血栓の元となるプラークと呼ばれるものが溜まりやすくなります。

血圧が高いほど脳梗塞や心臓病などに掛かるリスクは高くなります。

②高脂血症

高脂血症とは、血中の善玉コレステロール値と悪玉コレステロール値のバランスが悪くなる病気です。

悪玉コレステロール値が高くなると、プラークの発生が促されます。

これに加えて、中性脂肪が高い人は、動脈硬化を予防する善玉コレステロールの値が低くなり、糖尿病や肥満を合併しやすくなるため、動脈硬化の危険がさらに高くなります。

③喫煙

喫煙は、動脈硬化の発症を促す強力因子です。

ニコチンは、血小板を集め、血管の壁にプラークを付着しやすくします。

また、喫煙により血液の粘り気が強くなるため、血栓症を起こす危険が高まります。

さらに、喫煙は血管を収縮させる作用があるため、血圧が上昇し、動脈硬化を助長させます。

④肥満

肥満は、血中の脂肪が多くなり、高血圧や糖尿病などを合併しやすくなります。

⑤糖尿病

糖尿病には、遺伝的な要素も関係しますが、食事や運動などの生活習慣が大きく影響しています。

血糖値が高くなると、血液の粘り気が強くなり、血栓を生じやすくなり、動脈硬化の発生頻度が高まります。

血管が詰まる疾患

心筋梗塞
血栓が詰まると、血液の循環が悪くなるため、必要な酸素や栄養が全身に行き渡らず、臓器や組織が正しく機能しなくなり、壊死してしまうこともあります。

脳梗塞

血栓が脳の動脈に詰まると脳梗塞になります。

高脂血症や高血圧があると、動脈硬化が進行し、脳梗塞が起こりやすくなります。

心筋梗塞

心臓の動脈に血栓が詰まると心筋梗塞を引き起こします。

血栓が詰まり、その先の血流が途絶えると、心筋に必要な栄養素や酸素が行き渡らなくなり、心筋細胞が部分的に壊死を起こします。

詰まった場所と程度によっては、死亡することもあります。

深部静脈血栓症

足の静脈に血栓ができると、深部静脈血栓症を起こします。

長時間、同じ姿勢を続けることで、血管が圧迫され、血液循環が悪くなり、足の静脈に血栓ができやすくなるため発症します。

この血栓が肺の動脈を塞いでしまう肺塞栓症の原因となります。

これは、エコノミークラス症候群として知られています。

下肢静脈瘤、産婦人科や整形外科などの大きな手術、けが、悪性腫瘍、肥満、経口避妊薬の使用、妊娠、出産後の人にも起こる可能性があります。

血管が詰まる病気の予防

運動

血糖値や中性脂肪値が高くなると、血液の粘り気が強くなり、血液がドロドロになり、いわゆる血管が詰まりやすい状態になります。

動脈硬化で血管が狭くなっても、血液がサラサラな状態であれば、血流が良くなり、詰まりを予防できます。

サラサラな血液というのは、中性脂肪やコレステロールなどが多量に含まれていない血液のことです。

悪玉コレステロールや中性脂肪などは、血液をドロドロにし、動脈硬化を促しますが、反対に善玉コレステロールは、血液がドロドロになるのを防ぎ、動脈硬化を予防します。

血管の詰まりを予防するためには、食事や運動、生活習慣などを見直し、血液がサラサラな状態を保つことが大切です。

①運動

運動は、肥満の解消、血圧値や血糖値をさげ、高血圧や糖尿病の改善に役立ちます。

動脈硬化を促す悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロールを増やす効果もあります。

また、下肢の血栓症の予防にもなります。

運動習慣のない人は、急に運動を始めるのではなく、通勤時に階段を使う、歩く距離を増やすなど、普段の生活の中に運動を取り入れる工夫をし、体を動かすことに慣れることから始めましょう。

②食事

運動に加えて、普段の食事や食べ物を見直すことは、体重や血圧値、血糖値、コレステロール値を改善し、血栓症の予防に役立ちます。

普段の食事の中で、コレステロール値の上昇を抑え、血液をサラサラにする食品を取り入れる工夫をしましょう。

血液サラサラにする効果のある食品

ナットウキナーゼ

納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素には、血栓を溶かす効果があります。

クエン酸

酢や梅干しなどに多く含まれるクエン酸は、疲労回復の他、血小板が必要以上に集まるのを防ぐ作用があります。

DHAとEPA(多価不飽和脂肪酸)

魚、特に青魚(イワシ、サバ、サンマなど)に多く含まれています。

DHA(ドコサヘキサエン酸)には、血管の弾力性を高める効果があります。

EPA(エイコサペンタエン酸)には血栓を作りにくくして血流を良くする効果があり、EPAやDHAの含有量は、旬の時期とそうでない時期とで大きな差があるので、旬の青魚のほうが血栓症の予防には効果的です。

ポリフェノール類

赤ワインやカカオ、緑茶、ココアなどに含まれるポリフェノール類には、コレステロールの酸化を防ぐ、抗酸化作用があります。

ニンジンやほうれん草に多いβカロテン、トマトに多いリコピンなどのカロチノイドにも、強力な抗酸化作用があり、動脈硬化の予防に役立ちます。

また、ケルセチンというタマネギに多く含まれるポリフェノールは、体内の脂肪の排出を助ける働きがあります。

緑茶の渋み成分であるカテキン、紅茶の色素のテアフラビンにも、血液をサラサラにする作用があります。

アルギン酸

アルギン酸は、昆布やワカメなどの主成分で食物繊維です。コレステロールを排出する働きを持ちます。

ビタミン類

ビタミン類の中でビタミンEとCは、抗酸化作用が強く、動脈硬化の予防に効果的です。

ビタミンEはカボチャ、アーモンド、赤ピーマン、鮭などに含まれます。

ビタミンCはアセロラ、レモン、キウイフルーツなどの果物類の他、サツマイモ、ジャガイモなどのイモ類にも多く含まれています。

中性脂肪を摂りすぎない

血中の中性脂肪が多くなると、善玉コレステロールが減少し、悪玉コレステロールが酸化されやすくなるため、動脈硬化を促す原因になります。

中性脂肪値が高くなる要因としては、お菓子、果物、ジュース類、脂肪分の多い食物の摂り過ぎ、アルコールの飲み過ぎ、食事の量が多い、運動不足などが挙げられます。肥満の原因にもなります。

調理法に気を付ける

同じ材料でも料理法によって抗血栓効果に大きな差がでます。

青魚を天ぷらやフライにすると、油の中にEPAやDHAが溶け出してしまうため、抗血栓作用が低くなります。

一般に調理時間が長くなるほどEPAやDHAの残留が少なくなると言われています。

オーブンや電子レンジを使った調理法では、加熱時間が短いため、残留量は比較的多くなります。

③禁煙

血管の壁に付着したコレステロールが酸化すると動脈硬化が促進されます。

その酸化を助長するのが、たばこによる活性酸素です。

たばこは、癌や呼吸器疾患の原因でもあるので、是非禁煙をしましょう。

④標準体重を維持する

肥満は脂質異常や高血圧、高血糖などのリスクを高めます。

体重を落とすだけでも、これらのリスクを抑えることができます。

食事の量と内容を見直し、適度な運動を心がけ、肥満解消に取り組みましょう。

⑤血圧の管理

標準体重の維持、塩分の摂取量を減らす(1日6g以下)、適度な運動をすることで、ある程度の血圧の管理ができます。

高血圧は自覚症状が乏しいので、まずは自身の血圧の値を知ることから始めましょう。

血圧値に不安のある人は、一度病院を受診し、医師の診察を受けましょう。

⑥血糖値の管理

糖尿病では、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が約2~4倍に高まります。

血糖値をコントロールすれば、これらの合併症を防ぐことができます。

糖尿病は食事や運動の影響を受けやすので、少しずつ生活習慣を改善し、血糖値のコントロールを行い、発症の予防、病状の悪化を防ぎましょう。

まとめ

血液には、その人の食生活や運動など、生活習慣が反映されます。

動脈硬化や血栓などを起こす人には、共通の生活習慣が認められます。

血栓症による重大な病気を発症しないために、今日からできることを少しずつ始めて、健康的な生活を心がけましょう。