早期発見が肝心!リンパ浮腫の初期症状とは

2018.05.13

リンパの流れが悪くなる事が主な原因で、むくみ等の症状が出るリンパ浮腫

一度発生すると治りにくい症状で、全国でも10万に以上の患者がいると言われているそのリンパ浮腫の症状を解説致します。

リンパとは?

血液は心臓から送り出されると、動脈で運ばれ、各組織の毛細血管に流れます。

運ばれた血液は、毛細血管から漏れ出し、細胞に栄養素や酸素を供給します。

血液中から染み出した液体(組織間液)は、そのあと二酸化炭素や老廃物を回収して再吸収されますが、その際、約90%は血液として静脈へ流れ、約10%はリンパ管にリンパ液として回収されます。

リンパ管は動脈や静脈とは流れ方が異なっており、組織間液の吸収をおこなうリンパ毛細管は、その後太いリンパ管に合流し、最後は首の部分で静脈に合わさり心臓へと循環していきます。

また、リンパ管系の途中には関所のような役割をもつリンパ節があり、細菌などの微生物や異物が全身に循環するのを食い止める機能をもっています。

リンパ浮腫とは?

通常、リンパ液はリンパ管をゆっくりと一定の速度で流れています。

しかし、何らかの理由によりリンパ液を輸送するシステムが上手く働かなくなると、血液中に戻れなかった水分やタンパク質が細胞・組織間に貯留し、リンパ浮腫を引き起こします。

リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫は、原因が明らかではない原発性浮腫と、がん手術や放射線治療、フィラリア感染などにより起こる二次性リンパ浮腫に大きく分けられます。

リンパ浮腫の多くは、二次性リンパ浮腫であり、日本では、がんの手術や放射線治療による発症が大部分を占めています。

がんの手術では、がんの転移を防ぐためにリンパ節も取り除くことがあり、その近辺でリンパ液が流れにくくなり、症状があらわれることがあります。

発症の有無や時期には個人差がありますが、乳がん子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がんの治療で発症率が高い傾向がみられます。

一般的に、乳がんでは腋の下から腕にかけて、婦人科がんや前立腺がんでは下腹部、陰部、脚の付け根あたりに症状が発現し、次第に手先または足先に浮腫が広がってきます。

どのような症状が出るの?

男性医師首から下

病期分類

リンパ浮腫は大きく分けて0期からⅢ期の5つの病期に分類されます。

  • 0期:リンパの流れに滞りがみられるものの、症状としてはあらわれておらず、明らかな浮腫はみとめられない。潜在性または無症候性の病態。
  • Ⅰ期:まだ初期であり、腕や脚をあげることで浮腫が改善する。指で押すと痕が残ることもある。
  • Ⅱ期:挙上だけでは浮腫が改善しなくなる。指で押すとはっきりと痕がつくようになる。
  • Ⅱ期後期:組織の線維化がみられ、皮膚が硬化する。指で押しても痕がみられなくなる。
  • Ⅲ期:浮腫の悪化・皮膚の硬直化が進み、圧痕がみられなくなる。リンパ液うっ滞性象皮病、表皮肥厚、脂肪沈着などの皮膚変化がみられるようになる。

初期症状とは?

リンパ浮腫は、一度発症すると完全に治ることは難しく、徐々に進行していきます。

症状が進行するほど治療の効果は弱くなるため、初期の段階で発見し、早めに治療に取り組むことが大切です。

しかし、早期では自覚症状があまりなく、普段から気を配っていないと浮腫に気づかない場合もあります。

初期では、それまで見えていた静脈が見えにくくなる、左右の静脈の見え方が異なる、皮膚をつまんだときにシワが寄りにくくなるなどの症状が出る場合もありますので、日頃から直接目で見て、触って確かめてみましょう。

また、進行すると腕または脚が重く感じる、太くなる、圧痕が残るなどの症状もみられることがあります。

気になる症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。

他のむくみとの違いはあるの?

むくみは健康な人や他の疾患でもみられるため、リンパ浮腫との見分けは簡単ではありません。

リンパ浮腫でみられる脚のむくみでは、足首が不自然な形で太くなっている、ふくらはぎだけではなく、太ももにも症状がみとめられるなどの特徴が挙げられますが、該当しない患者さんも多く、診断には検査が必要となります。

以下の項目に当てはまる症状や気になる症状が見られる場合には、自己判断せず、専門の医師に相談しましょう。

  • 腕や脚が重い、またはだるい
  • 皮膚をつまんだ際にシワが寄りづらい
  • 指で押すと痕がつく
  • 腕や脚の左右の太さが違う
  • 静脈が見えにくくなった、または左右で見え方が違う
  • 皮膚が硬い
  • 皮膚が乾燥しやすい
  • 腕や脚を動かしにくい

合併症にも注意!蜂窩織炎とは

リンパ浮腫の患者さんでは蜂窩織炎が合併しやすく、注意が必要です。

蜂窩織炎とは、細菌感染などで皮膚の深部から皮下の脂肪組織にかけて炎症を起こす疾患です。

リンパは免疫反応に重要な役割を果たしているため、リンパ液の流れが滞ることにより、小さな傷や虫刺されなどの些細なことで蜂窩織炎を発症しやすくなると考えられています。

蜂窩織炎になると、赤い斑点や広範囲に皮膚の赤み、熱感がみられ、痛みが発現します。

また、38℃以上の高熱が出ることもあります。

このような兆候があらわれたら、なるべく早く医療機関を受診しましょう。治療では、抗生剤の内服または点滴が行われます。

リンパ浮腫の治療法は?

指を指す女医
リンパ浮腫の治療は、日常生活での自己管理医療的なマッサージである用手的リンパドレナージ、弾性着衣や弾性包帯を用いた圧迫療法、圧迫下での運動を組み合わせた複合的治療(保存的治療)が行われます。

個々人の症状により治療法が異なりますので、専門医のもと、適切な治療を行いましょう。症状によっては、外科的治療が行われることもあります。

リンパ浮腫は一度発症すると、難治性で徐々に進行していきます。しかし、初期の段階で発見することができれば、治療により症状の緩和、進行のペースを抑える効果が期待できます。

日頃から自身の身体の変化に気を配り、早期発見に努めましょう。