リンパ浮腫は予防と早期発見が大事!日常生活での注意点とは?

2018.05.15

リンパ浮腫とは、何らかの理由でリンパの流れが悪くなることにより生じる、むくみ等の症状です。

発症する原因はいくつかありますが、日本では、がん治療の副作用として多くみられます。

重症化すると生活に支障をきたすこともあることから、日頃から自己管理を行い、予防することが大切です。

リンパ浮腫と原因

医者の疑問

リンパ浮腫とは?

通常、リンパ液はリンパ管の中を一定の速度で流れています。

しかし、なんらかの原因により流れが滞ってしまうと、水分やたんぱく質が細胞・組織間に溜まり、むくみなどの症状を引き起こします。

発症の原因

日本においては、がんの手術後・放射線治療後に発現がみとめられることが多く、特に乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がん治療後に多く発症する傾向があります。

がんの手術では、がんを取り除く際に、近くのリンパ節も切除(リンパ節郭清)することがあり、そのことにより流れにくくなったリンパ液が貯留し、むくみなどの症状が発現することがあります。

どのような症状が出るの?

頭の上にはてなマーク女性

主な症状

リンパ浮腫の主な症状は“むくみ”です。

しかし、初期では血管が見えにくくなる、皮膚をつまんだ際にシワが寄りにくくなるなどの症状がみられることもありますが、自覚症状がほとんどなく気付きにくいといわれています。

症状が進行すると、腕や脚が浮腫により太くなり、倦怠感や重さを感じる、部分によっては指で押すと痕が残るなどの症状がみられるようになります。

さらに悪化するとパンパンに肥大化して、指で押しても痕がつかないほどに皮膚の硬直化が進み、皮膚変化をともなうこともあります。

また、リンパ浮腫は合併症として蜂窩織炎が発症しやすくなるため注意が必要です。

症状の発現時期は?

発症の時期には個人差があり、がん治療後にすぐ症状がみられることもあれば、10年以上経ってからあらわれることもあります。

発症すると完全に治すことは困難であり、重症化すると日常生活にも支障をきたすことから、日頃の予防が重要となります。

また、もし発症しても、早期であるほど治療効果が期待できるため、セルフチェックを行うなど早期発見に努めることも大切です。

早期発見にもつながる?!ICG リンパ管造影検査とは

リンパ浮腫は、がん治療後だいぶ経ってから症状を自覚する場合があり、将来リンパ浮腫になるかもしれないという不安を抱きながら生活する方も少なくないはずです。

そこで、将来的にリンパ浮腫の症状が発現するかを検査できるのが、ICGリンパ管造影検査です。

色素を注入して異常なリンパ液の流れを確認する検査であり、確定診断に用いられていますが、自覚症状があらわれる前から診断することも可能となっています。

リンパ浮腫を発症するかどうかを術後2年以内に診断をつけることができるとも言われており、定期的に検査することにより早期発見につながると期待されています。

リンパ浮腫にならないための予防法とは?

指を指す女医
リンパ浮腫の予防・早期発見には、セルフチェックやスキンケア、日常的な心がけなど、日頃の自己管理が大切です。

無理せず、適度にケアを行い、予防に努めましょう。

セルフチェック

リンパ浮腫を発症すると静脈が見えにくくなったり、皮膚の厚み、腕または脚の太さが変化します。

実際に、以下のような症状がないか、目で見たり触ったりして確かめてみましょう。

  • 静脈が見えにくくなっている、左右で見え方が異なっている
  • 皮膚を指でつまみ、シワが寄りにくくなっている、左右で厚さが異なっている
  • 腕時計や靴下、下着などの痕が残りやすくなった

また、定期的に両方の腕または脚の太さを計測することも有効です。毎回、同じ時間帯・姿勢・部位で測定し、変化に気をつけましょう。
(測定場所の参考 腕:付け根、肘の上、肘の下、手首、手 脚:付け根、膝の上、膝の下、足首、足)

スキンケア

炎症は、リンパ浮腫の発症や悪化のきっかけとなります。スキンケアを行い、炎症の予防に努めましょう。

  • ボディソープはよく泡立ててやさしく洗い、肌を清潔に保つ
  • 皮膚の保護機能を保つため、保湿剤等を利用し、皮膚の乾燥を防ぐ
  • 皮膚を傷つけないように、すり傷、切り傷、ひっかき傷、虫刺されに注意する
  • 深爪しないようにする

衣類など

  • 過度な日焼けは炎症を起こすため上着や日傘などを用いて、日焼け対策を行う
  • 締め付けるものは避け、衣類はゆったりしたものを選ぶ
  • サイズにあった靴を選び、高いヒールは避ける

食事、運動、体重管理

  • 肥満はリンパ浮腫の発症や増悪の一因となるため、標準体重を維持するよう心がける
  • バランスの良い食生活
  • 適度な運動を続ける、激しい運動は避ける

そのほか

  • サウナ、岩盤浴、長時間の入浴などは避ける
  • 長時間同じ姿勢でいることを避ける
  • なるべく重い荷物を持たないようにする

発症したらどのような治療をするの?

足のマッサージ
むくみに気づいたら自己判断せずに担当医に相談し、専門の医療機関で適切な治療を受けてください。

個々人にあった治療を行い、浮腫の軽減や、症状が悪化・進行するのを抑えることが治療の目標となります。

リンパ浮腫の治療では一般的に、予防と同じくスキンケアや日常生活に注意するなどの自己管理や、用手的リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動を組み合わせた複合的治療(保存的治療)が行われます。

用手的リンパドレナージ

皮膚をやさしくさすることにより、たまったリンパ液を正常に機能しているリンパ節へと誘導して、浮腫を改善する医療用のマッサージです。

通常のマッサージや美容用リンパドレナージとは異なるため、専門の医療機関で治療を受けてください。

圧迫療法

圧迫療法は、圧力をかけることにより、リンパドレナージなどを受けた後の良い状態を維持するために行われます。

また、皮下組織内の圧力を高めることにより、毛細血管からの漏れ出しや細胞間に水分がたまらないようにする効果も期待できます。

圧迫は、弾性着衣(弾性スリーブ、弾性グローブ、弾性ストッキング)や弾性包帯を用いて行われます。

症状が軽い場合は弾性着衣での圧迫、浮腫が高度の場合には弾性包帯を用いて圧迫するなど、個々人の症状に合わせた治療法が選択されます。

圧迫下での運動

弾性着衣や弾性包帯などを用い圧迫をした状態で、適度な運動を行います。

できるだけゆっくりと筋肉を動かすように運動することで、浮腫の改善に効果が期待できます。

ただ、腕や脚に負担の大きい過度な運動は逆効果になりますので注意が必要です。

手術が行われることも・・・

保存治療だけでは十分な効果が得られない場合や、蜂窩織炎が繰り返し起こる場合などには手術が検討されることもあります。

手術では、新たなリンパ管の流れをつくるリンパ管静脈吻合術や、リンパ管の機能回復を図るリンパ節・リンパ管移植などが行われます。

まとめ

リンパ浮腫は、がん治療後のすべての患者さんに起こるわけではありませんが、一度発症すると完治が難しく徐々に進行していくことから、予防と早期発見が重要です。

継続して適切なケアを行い、リンパ浮腫とうまく向き合っていきましょう。