リンパ浮腫とは?リンパ浮腫と付き合っていくために

2018.06.12

むくみ

リンパの流れが停滞することにより起こるリンパ浮腫

あまり聞きなれない言葉かも知れませんが、年齢が40代を超えると非常の多くの方が患うようになるむくみの症状です。

このページではそんなリンパ浮腫を解説します。

リンパとは

疑問
リンパ(リンパ液)とは、体の中にある血液や組織液と同じ「体液」の一つです。

リンパ液の成分は、血漿という血液中の有形成分(赤血球、白血球、血小板)を除いた液体成分で、タンパク質や脂肪が多く含まれています。

リンパ液が流れる「リンパ管」は、皮膚の下に細かく分布し、全身に張り巡らされていています。

リンパ液は、古くなった細胞や体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体、老廃物などを、リンパ管を通して運び、処理する役目があります。

リンパ管には、ところどころに「リンパ節」という、リンパの関門があり、ここでリンパ液が運んできた病原体や不要な物質を処理し、体の中に広がるのを防いでいます。

リンパ浮腫とは

なんらかの原因でリンパ液の流れが滞り、リンパ管を流れることができず、リンパ液が細胞間にたまってしまった状態を、リンパ浮腫と言います。

リンパ浮腫は、原発性と続発性にわけられます。

日本で多く見られるのは、癌の治療の後遺症として見られる「続発性」のリンパ浮腫です。

リンパ浮腫の診断

医者
リンパ浮腫は、既往歴と身体所見のみでおおむね診断が可能な疾患です。

皮膚の弾力性や伸展性、湿潤度、熱感、患肢の角化、多毛、リンパ漏、疣贅(いぼ)の有無などに注意して観察されます。

リンパ浮腫は、左右差のある無痛性の腫脹で、初期ではむくみのために静脈が見えにくくなることで判断します。

皮膚は徐々に硬くなるため、皮膚がつまみにくくなります。

特に、シュテンマーサインという、足背第2~3趾間の皮膚をつまめなくなる所見が特徴的です。

また、足趾が箱状となることもあります。

片側性にむくみがあらわれるのが特徴なので、片側性浮腫の代表である静脈疾患との鑑別をして、初めてリンパ浮腫の診断が可能になります。

リンパ浮腫の診断や治療評価には、四肢周径の測定も用いられています。

これはセルフケアの一環として行われており、自己測定ができるよう習得することが必要とされています。

ほかにも、超音波検査(エコー)やCT検査、MRI検査などが診断に用いられたり、リンパ管シンチグラフィー、ICG蛍光リンパ管造影、リンパ管造影などの検査がありますが、日本では保険適応となっていない検査もあります

リンパ浮腫と静脈性浮腫の違い


片側性の浮腫が認められた場合において、リンパ浮腫の診断を行う際に重要なのは、静脈性の浮腫(静脈血栓症による浮腫)との鑑別診断を行うことです。

どちらとも片側性に現れる浮腫ですが、リンパ浮腫は、婦人科癌や前立腺癌などの術後に、患肢全体に徐々に進行してくる痛みを伴わない浮腫です。

血行が悪くなるため、皮膚色は白っぽくなります。

静脈血栓症による浮腫は、発症後急速に進展してくる静脈怒張を伴ったうっ血性の浮腫です。

さらに、慢性静脈不全では、色素沈着や皮膚炎、皮膚の潰瘍を伴うこともあります。

リンパ浮腫においては、通常、両側性もありうるので、左右差があることは鑑別診断の際に重要とはされませんが、癌の術後の浮腫の場合は、必ず左右差が見られます。

リンパ浮腫の病期分類

医学
国際リンパ学会では、リンパ浮腫の病期(進行度)を、0期からⅢ期に分類しています。

病期分類(国際リンパ学会)

0期=発症していないが、リンパ循環不全があり、潜在的にリンパ浮腫のリスクを有する状態。

浮腫が明らかでない潜在性または無症候性の病態。

Ⅰ期=比較的たんぱく成分が多い組織間液が貯留しているが、まだ初期であり、患肢の挙上や安静により治まる状態。

圧痕が見られることもある。

Ⅱ期=患肢の挙上や安静だけではほとんど組織の腫脹が改善しなくなり、圧痕がはっきりする。

皮膚色は蒼白で、無痛性であるが、皮膚は少し硬く、弾力がなくなってくる。この時期がいわゆる「リンパ浮腫」と呼ばれる時期。

Ⅱ期後期=過度の脂肪蓄積や組織の線維化が見られ、圧痕が見られなくなる。

Ⅲ期=0~Ⅱ期の状態が長く続くと、組織間隙内のタンパク質が変性し、皮膚の肥厚(アカントーシス)、脂肪沈着、疣贅(いぼ)などの皮膚変化を認める。

圧痕が見られず、腕や足は極端に太くなり変形する。

その状態が象の皮膚に似ているので象皮症とも呼ばれる。

リンパ浮腫の主な症状

二の腕
リンパ節郭清や放射線治療を行うと、リンパ節が損傷されます。

それによってリンパ液の流れが滞るために、浮腫をはじめとするさまざまな症状があらわれます。

一般的に、リンパ浮腫は、徐々に発症するむくみなので、初期ではほとんど自覚症状がありませんが、むくみが急に進んだときには、皮膚の緊満感、重圧感、しびれやむくみに起因する静脈のうっ滞のため、皮膚が青紫色になったり、痛みを感じることがあります。

主な症状としては、

  • 腕や足のむくみや重さ、だるさ
  • 手足の動かしにくさ
  • 疲れやすくなる
  • 皮膚をつまんだ際にしわが寄りづらい
  • 指で押すと痕が残る
  • 静脈が見えづらくなる

などがあります。

重症化させないためには、できるだけ早い段階で症状に気づきケアをすることが大切です。

早期の症状

自覚症状があまりないので、むくみに気づかないことがあります。

リンパ液がたまって、皮膚の厚みが増すと、それまで見えていた静脈が見えにくくなったり、皮膚をつまんだときにしわが寄りにくくなるなどの症状が見られることがあります。

皮膚の表面の血流が悪くなるので、皮膚は蒼白で冷たく感じられるようになります。

初期では、きわめて微細な外傷(虫刺されや挫傷など)や感染などで、むくみが悪化することもあります。

軽度から中等度の症状

腕や足が太くなり、腕や足がだるい、重い、疲れやすいなどの症状が出てきます。体のむくんだところを指で押すと痕が残ります。

重症化した時の症状

むくみが進行すると、皮膚の乾燥、皮膚の硬化、多毛、肘・手首・指・膝・足首などの関節が曲がりにくくなる、手足を動かしたときの違和感が生じる、などの症状があらわれます。

リンパ浮腫の起こりやすい場所

初期段階でむくみが生じやすい場所は、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、皮膚癌など癌の治療後で、手術でリンパ節郭清を行った場所に近いところ、つまり、腕の付け根から手先、太ももの付け根から足先に多くあらわれます。

たとえば、乳癌の治療後では肘の上下、婦人科癌や泌尿器癌の治療後では、下腹部、陰部、足の付け根のあたりに多く見られます。

リンパ浮腫とつきあっていくために

ナース
リンパ浮腫は、女性特有の子宮癌や乳癌といった癌の手術後に発症する「続発性」が約8割を占めています。

また、原因の明らかでない「原発性」も女性に多いため、リンパ浮腫全体の9割以上を女性が占めており、女性に発症することが圧倒的に多い疾患です。

悪化すると外見的な変化が伴うため、美容面への影響も大きく、強い悩みを抱えるなど、精神的にも苦痛を伴う可能性のある疾患です。

リンパ浮腫は、現在の医療では完治することが難しい疾患ですが、むくみの早期発見を心がけることや、スキンケアを行うなどの自己管理が大切です。

日常生活上の注意点や対処法などをきちんと理解し、治療を行うことで、悪化を防ぎ、症状を改善させることが可能となります。

少しでも悪化を防ぎ、生活の質の向上につながるよう、早期からの自己管理や予防法の実践、治療を行っていきましょう。