下肢静脈瘤の治療法~保存的治療から手術まで~

2018.05.22

下肢静脈瘤には様々な治療法があります。

そもそも、下肢静脈瘤とは足(特にふくらはぎ)の静脈の中にある弁が壊れることなどによって、足の血管に血液が溜たまってしまう病気です。

治療法は大きく分けて保存的治療・硬化療法・血管内治療・手術の4つがあります。

保存的治療

治療法の1つ目は保存的治療、すなわち弾性ストッキングの着用です。もっとも手軽に行える治療であり、最も多く行われている治療でもあります。

保存的治療とは

保存的治療とは手術などのように体を傷つけたりすることなく治療していく方法のことです。

下肢静脈瘤の場合、保存的治療として行われるのは弾性ストッキングの着用です。

弾性ストッキングを着用することにより、ふくらはぎから太ももにかけて適度な圧がかかることで足の血液の心臓への流れが改善します。

そのため、弾性ストッキングの着用で血液が足にたまりにくくなります。

弾性ストッキング着用の禁忌

動脈硬化や糖尿病などにより動脈の血流が阻害されている方は、弾性ストッキング着用により、血流が途絶えて足に治りにくい潰瘍ができたり壊死してしまう可能性があります。

動脈硬化の原因となる高血圧のある方や糖尿病のある方は必ずクリニックなどの医療機関を受診し診断をしてもらってから着用してください。

治療効果・治療後

弾性ストッキングは体に侵襲がない保存的治療ですが、その一方で静脈瘤がなくなることはありません。

あくまで悪くなることを防ぐ治療であり、他の治療法をしなければ弾性ストッキングは着用し続けなければなりません。

硬化療法

聴診器と錠剤
治療法の2つ目は硬化療法です。

硬化療法では注射を行いますが、治療時間・費用などの面で非常に手軽に行うことのできる治療法です。

硬化療法とは

硬化療法は硬化剤とよばれる薬剤を下肢静脈瘤に注射する治療法です。

この硬化剤をうつことで下肢静脈瘤が固まり、固まった静脈瘤は半年くらいかけて自然になくなっていきます。

昔は硬化剤として無水アルコールなどを用いて液状硬化療法が行われていましたが、現在はポリドカノールに効果を高めるために空気をまぜたフォーム硬化剤を使用したフォーム硬化療法が行われるようになっています。

適応・入院期間・治療時間・費用

硬化療法は大きな静脈瘤に用いると合併症が起きやすく、また再発が多いため、比較的小さな静脈瘤に適応があります。

小さな静脈瘤に対しては非常に効果的な治療とされています。

硬化療法の大きな利点として入院の必要のない外来で行えるということがあげられます。

治療時間も10~15分と非常に短く患者さんにとって負担の少ない治療です。

費用も保険による3割負担の方で約5,000円と手術と比較して安価に行うことができます。

合併症・後遺症・失敗などのリスク

硬化療法は深部静脈血栓症や血栓性静脈炎、色素沈着といった合併症・後遺症が出る場合があります。

これらの合併症は必ず出るわけではありませんが、特に大きな静脈瘤に対して硬化療法を行った場合に出やすいとされています。

下肢静脈瘤が美容的に気になるから治療したいと思われる方も多い中で、皮膚の色素沈着などは逆に美容的に大きな問題となります。

また深部静脈血栓症は肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)を引き起こします。

肺塞栓症は時に致命的となる疾患であり、そういったリスクがあることも覚えておく必要があります。

血管内治療

カテーテル
治療法の3つ目は血管内治療です。

治療器具の改良などにより近年注目されている治療法です。

血管内治療とは

その名の通り、血管内で行う治療法です。

血管内にカテーテルとよばれる細い管を留置して、そこからレーザーなどで熱を発して静脈を焼灼して閉鎖する治療法です。

熱を発する方法としてはレーザーによるものとラジオ波とよばれる高周波電流を用いる2つの方法があります。

血管内で治療を行うためにこわいと思われる方もいるとおもいますが、超音波検査の機械を使って血管を画面で見ながら治療を行います。

また学会により認定された資格を持つ医師が治療を行います。

適応・入院期間・治療時間・費用

血管内治療は手術が適応となる症例のほとんどで適応となりますが、抗凝固薬や抗血小板薬など血液をさらさらにする薬を飲んでいる方や非常に太っている方に対しては手術よりも血管内治療を行うことが多いとされています。

一方で、静脈瘤が大きすぎる場合や静脈瘤に変形などが見られる場合には血管内治療は行うことができません。

治療時間は30分~1時間であり日帰りで行うことのできる治療です。費用は保険による3割負担で5万円程度と最も高い治療法です。

合併症・後遺症・失敗などのリスク

血管内治療であるため、治療中や治療後の出血リスクはあります。

そして硬化療法同様、深部静脈血栓症やエコノミークラス症候群のリスクもあります。

また、カテーテルを挿入するため穿刺した場所から感染したりすることもあります。

血管内治療については近年発達してきた治療のため、治療後の長期的な経過を考えた場合のリスクや後遺症についてはまだはっきりとはわかっていません。

手術

手術室
治療法の4つ目は手術です。

手術にも2種類の方法があり、それぞれ高位結紮術ストリッピング手術(伏在静脈抜去術)とよばれます。

手術方法(高位結紮術とストリッピング手術)

下肢静脈瘤は大伏在静脈や小伏在静脈という足のふくらはぎ表面にある血管の弁がうまく働かなくなることにより血液が心臓へ向かわずに逆流して足にたまることで起こります。

そのため手術ではそれらの血管を処理することにより静脈瘤を改善します。

高位結紮術は局所麻酔で伏在静脈をしばってしまい、その血管を切り離して血液のたまりをおさえます。

一方、ストリッピング手術は原因となっている伏在静脈に細い針金をいれて血管を引き抜くことで治療する方法です。

麻酔は全身麻酔・局所麻酔のどちらで行われることもあります。

適応・入院期間・治療時間・費用

適応は皮膚炎や色素沈着、痛みなどがある場合とされますが、手術に耐えられる全身状態がなければ手術は行うことができず、全身麻酔を行う場合には詳細な術前検査が必要になります。

手術は1時間以内に終わる場合が多く、日帰り手術も可能です。

ただし、静脈瘤の状態などによっては日帰りではなく入院して手術をする場合もあります。

費用は保険による3割負担4万円程度です。

合併症・後遺症・失敗などのリスク

合併症としては皮下出血や神経障害を起こす場合があります。

また麻酔によるアレルギーなどの合併症などが起こる場合もあります。

硬化療法などと同様に、まれですが深部静脈血栓症やエコノミークラス症候群を起こすこともあります。

合併症のリスクはありますが、手術は比較的再発が起こりにくい治療法とされています。