下肢静脈瘤の治療法 “圧迫療法”とは?

2018.06.04

足が痛い

下肢静脈瘤は、日本人の10人に1人が発症しているといわれるほど身近な疾患です。

命に関わる疾患ではありませんが、QOLの低下などにつながることから、治療が必要となる場合があります。

それでは、どのような治療法があるのでしょうか?

今回は、治療法の中でも圧迫療法に焦点を当てて解説していきます。

下肢静脈瘤とは?

足が痛い
足の静脈血は、重力に逆らって心臓方向へ流れています。

そのスムーズな還流を手助けしているのが、静脈内の逆流防止弁とふくらはぎの筋ポンプ作用です。

そのため、静脈の弁やふくらはぎの筋ポンプ作用に異常が生じると、血液が正常に流れなくなり、さまざまな症状を引き起こします。

下肢静脈瘤は、静脈への強い負担などから弁が壊れたり、機能が弱まったりして、静脈内の血液が逆流、滞留することで発症します。

人によって症状や程度は異なりますが、血液の逆流によってできたコブが皮膚から盛り上がってみえたり、むくみ疲れこむら返り等のうっ血症状、皮膚炎などを引き起こします。

治療法は?

男性医師
下肢静脈瘤は命に関わる疾患ではありませんが、症状が重い場合や外見上気になる場合、皮膚炎を起こしている場合などには治療が必要となることがあります。

治療では、患者さんに合わせて、弾性ストッキングを用いた圧迫療法(保存的治療)血管内治療などが行われます。

弾性ストッキングによる圧迫療法とは?

ストッキング
静脈瘤によるむくみや疲労感、こむら返りなどのうっ血症状は、弾性ストッキングによる圧迫療法でよくなることがあります。

弾性ストッキングとは?

弾性ストッキングは、弾力性をもった特殊なストッキングで、足首あたりに一番強い圧力がかかり、上にむかうほど圧力が弱くなる、段階着圧構造になっています。

このような構造により、ふくらはぎの筋ポンプ作用を助け、足の血液が心臓へと戻るのを補助する効果があります。

また、血液の逆流を防ぎ、スムーズな静脈還流を促すことにより、むくみや疲労感、こむら返りなどのうっ血症状や皮膚炎を改善し、生活の質を高めます。

どのような種類があるの?

下肢静脈瘤には、20mmHg程度弱圧のものや、30mmHg程度中圧の弾性ストッキングが多く使用されます。

弾性ストッキングには、ストッキング型やハイソックス型などのさまざまなタイプや、つま先の有無、サイズ、圧迫圧などの違いからたくさんの種類があり、自分に合ったものを使用することが重要となります。

専門知識をもったスタッフと相談しながら、最適なものを選び、適切に使用しましょう。

履き方は?

弾性ストッキングは、強い圧がかかるように作られているため、通常のストッキングのように簡単に履くことはできません。

また、正しく履かないと、十分な効果が期待できないどころか、逆効果になってしまうこともあります。
弾性ストッキングの履き方

  1. ストッキングに手を入れてかかと部分をつかむ
  2. かかと部分をつまんだまま、ストッキングをかかと部分までひっくり返す
  3. かかと部分が見えるところまで裏返したら、かかと部分を手前下側に向けて、両手の親指で履き口を広げる
  4. ストッキングに足先からかかとまで入れ、自分のかかととストッキングのかかと部分をしっかりと合わせる
  5. 裏返したストッキングの端を持って、ふくらはぎから膝に向かって持ち上げる
  6. ストッキングにシワやたるみがないか確認する

弾性ストッキングの使用に注意が必要な人とは?

弾性ストッキングは、うっ血症状の改善などに効果的ですが、なかには禁忌または注意が必要となる方がいます。

  • 動脈血行障害を有する方:血行障害をさらに悪化させる可能性があります。
  • 糖尿病:血行障害が生じやすく、神経障害のため合併症が起きても気付きにくい可能性があります。
  • 皮膚に炎症性疾患や、化膿性疾患がある方:圧迫により炎症が悪化する可能性があります。
  • 急性期で痛みの強い深部静脈血栓症:圧迫により痛みが強くなる場合があります。
  • うっ血性心不全:圧迫により足の血液の心臓への還流量が増加し、さらに心臓に負担がかかる危険性があります。

合併症の危険はあるの?

使用状態が悪いと合併症が起こりやすくなります。自分に合ったものを選択し、適切に使用しましょう。

・皮膚のトラブル

着用により、かゆみや発赤、発疹が出ることがあります。

・むくみ

シワやめくれ、食い込みなどにより、局所的に圧迫圧が上昇し、かえって静脈還流を阻害してしまうことがあります。

また、むくみがあると皮膚損傷を起こしやすく、皮膚潰瘍や蜂窩織炎などの感染症の原因にもなります。

・腓骨神経麻痺

腓骨神経が圧迫されることで、しびれや触った感じが鈍くなるなどの症状が発現します。

まとめ

弾性ストッキングは、むくみや疲労感、こむら返りなどのうっ血症状の改善に効果的です。

しかし、自分の足の状態に合うものを選び、適切に使用しないと十分な効果が得られないどころか逆効果になってしまうこともあります。

気になることや疑問点がある場合には自己判断せず、専門知識をもったスタッフに相談しましょう。