蜂窩織炎の原因は細菌!?検査・治療法
2018.09.21
蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の病気を知っていますか?
あまり聞きなれない病気ですが誰でも感染する可能性がある怖い疾患です。
今回はこの蜂窩織炎の原因から様々な項目に分けて書いてみました。
蜂窩織炎とは
蜂窩織炎(ほうかしきえん)とはどのようなものなのでしょうか。
人間の皮膚の下には皮下脂肪があり、その下には筋肉があります。
この皮下脂肪のあたりにある蜂窩織と呼ばれる部分が、細菌感染を起こして炎症を起こす病気です。
元横綱の曙さんがこの病気にかかり、治療をしたことで有名です。
ステロイドを使用している人や糖尿病、傷口が不衛生である場合に起こりやすく、誰にでもなる可能性があります。
この蜂窩織炎は皮膚のあらゆるところに起こり、発生する部位によって名称も変わります。
例えば、爪まわり~手足の指先に感染すると「ひょう疽」、皮膚の表面に感染すると「とびひ」というようになります。
蜂窩織炎が特にかかりやすいのは膝下と言われています。
この蜂窩織炎はきちんと治療を行えば治るものですが、治療せず放置すると重症化することもあります。
蜂窩織炎の原因は?
蜂窩織炎は「細菌感染」が原因で起こります。
この細菌とは、普段私たちが触れている菌で
・黄色ブドウ球菌
・レンサ球菌
この2種類になります。
この2種類は、通常私たちが触れても、健康であれば感染することはありません。
しかし、免疫力が低下している、皮膚が傷ついていてバリア機能が低下している場合、この細菌に感染すると蜂窩織炎になるのです。
・糖尿病などの持病
・普段からむくみを感じている
・血行不良
・アトピー性皮膚炎など皮膚トラブルの病気
これらが感染するリスクを高めます。
普段からむくみや血行不良を感じている場合、細菌が繁殖しやすいので注意が必要です。
蜂窩織炎は前触れもなく発症し、進行が早いので早く気づき治療することが大切になります。
蜂窩織炎の症状とは?
ここでは蜂窩織炎の症状について書いておきます。
①虫刺されのような赤い発疹
まず蜂窩織炎は虫刺されのような赤い発疹ができます。
このとき虫にさされたんだな・・と思っていると、いきなり足が太くなり、足全体が赤く腫れあがり範囲が急速に拡大します。
腫れあがるので、強い痛みを感じたり、足の感覚が変わります。
また感染した患部は熱をもち、オレンジのようなくぼみや、水泡ができることがあります。
②全身症状
赤く腫れ、さらに症状が悪化すると全身症状も感じます。
・寒気
・震え
・だるさ
・38℃以上の発熱
・関節の痛み
など、ひどい風邪のような症状を感じます。
人によっては、心拍数が上昇し動悸を感じたり、低血圧、錯乱状態になることもあります。
また、40度近い高熱に侵され意識障害によって救急車で搬送されるケースも報告されています。
蜂窩織炎の診断方法
実は蜂窩織炎と診断されるまで、少し時間がかかります。
ここでは診断方法を見ていきましょう。
①問診、触診
まず病歴などを問診し、患部をみて直接触り状態を確認します。
②血液検査
蜂窩織炎は血液検査を行うと、白血球と炎症を表すCRPの数値が高く出るので、血液検査で細菌感染の有無を確認します。
③尿酸値の検査
似たような病気で「痛風」があり、痛風は尿酸値の検査をすればすぐにわかるので、尿酸値の検査をして痛風ではないかどうかの判断をします。
このとき、受診する科にもよりますが、整形外科を受診した場合CTやレントゲンで痛風の有無を見極めたり、エコー検査をすることもあります。
④確定
細菌感染が認められ、痛風でもないという場合に、蜂窩織炎の診断が確定します。
蜂窩織炎は、医師の経験も大きく関わっていて、中には風邪と判断され状態が急変したという方もいます。
蜂窩織炎の治療方法とは?
まず、蜂窩織炎は細菌感染なのでその菌を体内から失くす必要があります。
そのため抗菌薬を服用したり点滴をしていきます。
この抗菌薬とは、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に対して効果のある
・セフェム系抗菌薬
・ペニシリン系抗菌薬
・クリンダマイシン
などが使用されます。
基本的には通院で治療が可能で5日~14日程度で回復に向かいます。
しかし、もとから糖尿病など持病があり重症化してしまったり、全身状態が悪い場合は入院をして治療していくことになります。
入院する基準とは
・熱が下がらない
・ぐったりして日常生活に支障が出る
・急激に悪化した
・糖尿病などの持病があり感染が重症化する可能性がある
・抗菌薬を服用しているのに回復しない
・重症化してしまい絶対安静が必要である
これが基準になります。
特に糖尿病や免疫不全症がある場合初めから入院と言われるケースがもあります。
入院する場合は静脈に注射をして抗菌薬を投与していくので、即効性かつ強力な治療をしていきます。
また人によっては1ヶ月以上薬を飲まなければならない場合もあります。
まずは医師の指示に従って薬をしっかり決められた分量を飲み、安静にすることが大切です。
また家庭では弾性ストッキングを着用したり、患部を冷やすなど炎症を悪化させない対策を行いましょう。
処方された薬は途中で中断せず、最後まで飲み切りましょう。
蜂窩織炎の予後
蜂窩織炎の経過の見通しとして、大半は、抗菌薬療法を行うことで速やかに回復に至ります。
しかし、局所的な膿瘍が形成されてしまい切開排膿が必要になるケースもあります。
重篤ではありますが、稀に起こる合併症として、重症の壊死性皮下組織感染症(壊死性皮下組織感染症)、転移性感染病巣を伴う菌血症があります。
蜂窩織炎が繰り返し同じ部位に発生すると、リンパ管が損傷したり、慢性的なリンパ管閉塞やリンパ浮腫を伴うこともあります。
蜂窩織炎の予防方法とは?
蜂窩織炎は1年以内に再発する確率が、8%~20%と再発のリスクが高い病気です。
再発させないためにもしっかり予防することが大切です。
蜂窩織炎はとにかく「皮膚をきれいに」することが再発のリスクを下げるポイントです。
傷ができてしまったら清潔にし、しっかり消毒を行い完治させましょう。
さらに手や指を念入りに洗い、消毒剤を使用することで感染を防げます。
また、熱感がある場合、入浴すると余計に血流の流れが良くなり、悪化する可能性があるので、シャワーなどを使用するようにしましょう。
蜂窩織炎は人にうつるのか
蜂窩織炎は外傷を治療する前に、人と接するとうつりそうな気がしますが、うつることはありません。
感染症を伴う病気ではありませんが、早期治療が速く治すためにもとても重要となってくるので、皮膚科へ外来してしっかりと調べることが大切です。
まとめ
今回は蜂窩織炎について書いてきました。
蜂窩織炎は免疫力が低下していたり、外傷があるところから原因菌が入り込み感染することがわかりました。
なんの前触れもなく急激に悪化することもあるので、おかしいなと思ったらすぐ病院を受診し適切な治療を受けましょう。
日頃から手やできてしまった傷は清潔にし、感染を予防することがとても大切です。
正しい情報と知識を持っておくことで、自分がもし感染したときに対処できます。