先天性の下肢静脈瘤とは

2018.07.30

赤ちゃん 足

下肢静脈瘤にも先天性のものがあるのはご存知ですか?

このページでは先天性の下肢静脈瘤について詳しくご紹介します。

下肢静脈瘤とは

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下肢静脈瘤とは、足の静脈がこぶのように膨らんだ状態になる、足の血管の病気です。

足には、動脈と静脈と言う2種類の血管があります。

動脈は心臓から体の末端まで血液を送り、静脈は体の末端から心臓へ向かって血液を戻します。

これにより、全身の血液が循環します。

血液の流れをスムーズにするために、静脈の血管には血液の逆流を防ぐ弁が付いています。

この弁が機能不全に陥った場合、血液は正常に流れることができず、逆流し血管内に血液が溜まります。

そうすると、血管が太くなり、こぶのように膨らみ、見た目にもはっきりと血管が皮膚の表面に浮かび上がります。

これが静脈瘤と言われるものです。

下肢静脈瘤の原因には、遺伝や妊娠・出産や加齢、長時間の立ち仕事や生活習慣などがあります。

このため、大人が掛かる病気と考えられていますが、稀に先天的に子供に静脈瘤が発症するケースがあります。

ここでは、先天性の下肢静脈瘤について紹介していきます。

先天性下肢静脈瘤とは

幼児 歩く

先天性静脈瘤とは、子供の頃に発症する下肢静脈瘤のことを言い、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群(Klippel-Trenaunay syndrome)とも呼ばれています。

クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群とは、皮膚血管腫、下肢静脈瘤、下肢の過形成の3つを徴候とする症候群です。

生まれつき静脈に形成異常が見られるのが特徴で、そのため静脈瘤を発症しやすく、ほとんどの場合、生下時より静脈瘤があります。

この症例の半分以上は、5歳未満で発症します。

先天性静脈瘤の発症には、性別による有意差はなく、男女の差はほとんどありません。

先天性静脈瘤の主な症状は、外見的なもので、下肢の外側にできる静脈瘤と、皮膚に母斑と呼ばれるアザができることです。

幼少期より下肢の長さの差がでてきますが、徐々に進行するので、注意深く診察しないと気づかれないことも多く、歩行困難が生じることは稀です。

静脈瘤の不快な症状が強い場合には、静脈造影にて深部静脈瘤の切除を行う場合がありますが、先天性の下肢静脈瘤は、血液の逆流量が一般の静脈瘤よりはるかに多く、さらに背景にある血管の奇形は複雑で形態も様々です。

そのため、治療が非常に難しく、治療のための手術を行うことで症状が悪化する場合もあります。

原因

医者 困る

原因は不明です。

静脈瘤ができやすい原因としては、生まれつき静脈の形成が不全であり、下半身の血流が滞りやすいと言うことがあげられます。

クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群による下肢静脈瘤においては、胎生期(母親の子宮の中で、胎児の組織が作られる時期)における脈管の発生異常・分化異常と考えられています。

脈管の形成異常により、血管やリンパ管に発生異常・分化異常が生じ、脈管奇形が発症します。

原因については、現在も研究が進められていますが、ほとんど解明されていません。

しかし、その一部として、遺伝子の変異(RASA1)が発見されています。

家族内発生の報告はありますが、非常に稀なケースです。

下肢の病的過形成の原因も不明で、骨軟部組織の先天的要因によるのか、脈管奇形による二次的変化なのかも明らかにされていません。

症状

子供

先天性静脈瘤の見た目の大きな問題としては、外見的なもので、下肢の外側にできる静脈瘤と、皮膚に母斑と呼ばれるアザができることです。

幼少期より下肢の長さに差がでてきます。

静脈瘤がある側の足が長くなる傾向にありますが、進行は緩徐です。

自覚症状としては、大人の下肢静脈瘤と同様に、足のだるさや痛み、浮腫み、こむら返りなどの症状が見られます。

皮膚の免疫力が低下するため、少しの怪我で出血したり、皮膚炎を発症することもあります。

クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の場合は、地図状のポートワインステイン(赤アザ)、拡張した蛇行静脈、リンパ管機能不全による腫脹があります。

さらに、上下肢の大きさに左右差が生じる片側肥大が出生時から認められ、成長と共に悪化します。

生まれつき手足の指に、合指(趾)症や巨指(趾)症などの指趾形成異常を合併することもあります。

治療方法

弾性ストッキング

先天性の下肢静脈瘤では、大人の下肢静脈瘤と違い、血液の逆流量が圧倒的に多く、静脈が複雑な形状をしているため、治療にも細心の注意が必要となります。

そのため先天性静脈瘤の治療には、弾性包帯弾性ストッキングを用いた圧迫療法が中心に行われています。

圧迫療法とは、下肢を弾性包帯や弾性ストッキングを用い、静脈瘤のある下肢に適度な圧力を加え、滞っている静脈の流れをスムーズにし、静脈瘤の悪化や症状の改善を図ります。

他には、切除手術、硬化療法・塞栓術、レーザー照射などが用いられていますが、この疾患の脈管奇形病変は、これらの治療に抵抗性であることが多いため、あまり効果的ではなく、生涯に渡り継続的な管理が必要となります。

静脈瘤の摘出目的で、高周波やレーザーなどの血管内治療を行った結果、大量の出血を生じてしまったと言うケースの報告もあります。

これらの治療を行うことが、かえって症状を悪化させる可能性もあります。

静脈異常に対する外科的治療も行われているようですが、現在の段階では未だ難しい状況にあるようです。

クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の脈管奇形は、多臓器にまたがり境目が不明瞭で、びまん性に分布し、難治性で感染や出血を頻繁に来します。

病状が進行した場合、低流速型では、多くの場合で血液凝固能低下を来し、高流速型では血行動態にも影響を及ぼし、感染、出血や心不全などにより致死的な病態に至ることもあります。

まとめ

先天性の下肢静脈瘤では、適切な治療を行うことが重要になりますが、治療方法が確立されておらず、適切な治療を行うことが難しい状況にあります。

専門外の医療機関で診察を受けた場合、診断ができず、不適切な治療が行われ、症状の悪化を招いてしまうケースもあります。

そのため、子供の静脈瘤が気になる場合には、信頼できる専門の医療機関で診察や検査を受けるようにしましょう。